特集:広告・マーケティング業界キーパーソン”リレー”インタビュー

株式会社 カヤック 代表取締役 柳澤大輔 氏

御社は様々な事業やプロジェクトを手がけてらっしゃいますが、現在、収益のメインとなる事業は?

 最近はブログパーツの事業が好調で、広告媒体として順調に純広が増えております。ただし、弊社としては、あまりメインの事業とか、そういった固執はしておらず、自分たちが面白いと思ったものを続けてきた結果、事業として成立したといったところですね。だから、今後も一つの事業に注力をするといったことはないでしょうし、弊社がやるより、他でやったほうがいいと思うものは、どんどんと売却していく方向です。アメーバ的に次々と増やしては売却するような感じになるのではないでしょうか。

こうしたことは所謂、一般的な企業では珍しいことだと思いますが・・・

 元々、面白そうなこと、新しいことにチャレンジし続けたいと立ち上げた会社です。そこで一つの事業に固執してしまうことに、逆に危機感を持っておりますね、我々の場合は。

いま新しいサービスはどういったペースで立ち上げておられるのでしょうか?

 サイト数だと月に3~4サイト程度ですね。もちろんそのなかには、サイトとまでいかないキャンペーンページみたいなものも含まれますが、例えば金曜日の夜に、皆で呑みながら「これは面白そうだ」といったアイデアが出たら、翌週の金曜日にはすでにスタートしするといったスピード感で、次々と新しいサービスやサイトを立ち上げております。

 こうして立ち上げたサイトには、それぞれプロジェクトリーダーがいて、「これはいけそうだ」と思ったら、会社として大きなプロジェクトにしていきます。だから、立ち上げの時点ではゴールとか目標といったものは、あまり無いんですよね。もちろん、ちょっとした目標はありますが、数字的なことは芽が出てきそうだと判断した時点で考えるようにしております。

とすると、そうした新しいサービスは、ユーザ視点で考えるものが多いのでしょうか?

 そうですね。とにかく自分が作りたいものに、いかに忠実になれるかどうか。もちろん、自分のエゴというよりは、「こんなサービスがあったらユーザも喜んでくれるだろうな」といった、未知のものに挑戦していきたいですね。

 せっかくインターネットという新しいツールが出来たので、それによって未知なる発見ができたら素晴らしいじゃないですか?先ほど申しましたブログパーツなんかは、まさに、そのいい例ですね。3年ぐらい前に「こんなツールがあったらいいよね」みたいところから始まって、すでに数十個ほど作っております。結果、盛り上がるようなものになりました。作りたいものを作っていたら、ユーザが自然と付いてきて、それに合わせて広告主も付いてきた。気がついたら、ブログパーツ自体が広告媒体となって、ビジネスが成立していたということですね。

 ユーザが喜んでくれるものを作っていれば、自然とスポンサーは付いてくる、いい例でしたね。

別の見方をすれば、面白くない仕事はやらないということですか?受託の仕事においては、そうした依頼も少なからずあるのでは?

 面白くない仕事という捉え方はしていないですね。「何か面白いことない?」って聞かれたら、それに応える集団でありたいと、常に思っておりますので。なので、弊社はブレストしてアイデアを出すだけだったら、幾らでも無料でやりますし、単純なので期待されるとがんばってしまうタイプなので(笑)、仮に予算が無くても、無いなりのアイデアはいろいろありますし、その辺はクライアント企業様も気軽に相談ください、という感じですね。

 依頼というと、最近はCGM的なサービスの依頼が多いですが、CGM的なものの場合、ネットオタクを対象としたサービスがほとんどですよね。でも、例えばRSSリーダーやソーシャルブックマークなどのサービスは、普通の人はあまり使っていないですよね。弊社としては、そういった普通の人、すなわち、ネットオタク以外の人たちにもアプローチできる企画を提案するような集団でありたいと思っております。


御社は今後、どのように成長させていきたいと考えておりますか?あまり会社の規模などにはこだわりが無いようにも思いますが。

 会社を大きくすることが最優先事項ではありませんが、大きくはしたいとは思います。収益や社会からの信頼度、知名度は、もっともっと上を目指したいと思っています。「上場は?」と聞かれることもありますが、今は考えていません。自分たちの中のこれはやるべき、これはやらないほうがいいという判断基準が、既存の上場基準とは合わないと思いますので。もちろん今後いろんな市場が出てくる可能性もあるので、僕らの価値基準に合う市場が出てきたらあるかもしれませんね。いっその事、市場をつくることができたら、面白いと思います。

 結局のところ、どこまで働いている社員が楽しく仕事をできるか、そこでしょうね。やはり同じ職種の人間が多くいると楽しい。評価軸が一緒なので、尊敬し合える。弊社の場合、ビジネスモデルを構築できる人間もいますけど、面白いものを作れないと「アウト」だと、皆思っている。どこに価値を置いているかが一緒だといい組織が作れる。そういう仲間が増えて、会社が大きくなっていくことを目指していきたいですね。

 そして、「カヤックに頼めば、何か面白いことをやってくれる」と言われる、そういう会社にしていきたいです。

お忙しいなか、ありがとうございました。

今月のキーパーソン
株式会社 カヤック 代表取締役 柳澤大輔 氏

1974年2月19日香港生まれ。
慶応義塾大学環境情報学部卒業後、(株)ソニー・ミュージックエンタテインメントに入社。
1998年、学生時代の友人と共に面白法人カヤックを設立する。
「思い込み倶楽部」「ダウンジング捜査網」「超能力ラボ」などユニークなサービスや、「T-SELECT」「モビゾー」「総務の森」など、ユーザー数千~数万人規模のサービスなど、幅広くインターネット事業を展開。
面白法人らしい人事制度(サイコロ給)や、ワークスタイル(働く場所を問わない)など、制度の構築にも意欲的に取り組む。
2007年2月にはラボ「BM11(ぶっこみいれぶん)」を立ち上げ月に4~5の新サービスをリリースする。
株式会社CUPPYの代表取締役も兼任。

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