特集:広告・マーケティング業界キーパーソン”リレー”インタビュー

モバイルコマースのポイントは、欲しい商品をユーザに気づかせてあげること
 株式会社ザッパラス 代表取締役社長 杉山 全功 氏(Sugiyama Masanori)

コンテンツビジネスの難しさは世間一般ではよく言われることですが、御社が成功している秘訣はどんなところにあると自己分析されますか?

 弊社は今期9期目ですが、当初はモバイルのコンテンツといえば着メロやゲームが全盛の時代でした。しかし、競合も多かったこともあり「選択と集中」を図るということで、いまも当社の柱の一つでもある「占い」に目をつけました。結果として、この選択が正しかったですね。

 なぜ占いに目をつけたかと申しますと、着メロやゲームのようなダウンロード型のコンテンツは、一度ダウンロードしてしまうと、それで事足りてしまう。その点、占いは毎日見に来るものですので、会員の継続率が非常に良いんですね。そうしたコンテンツは占い以外にもニュースや天気予報もそうですが、これは無料で提供しているところも多いということもあり、必然的に占いに絞られたと言うわけです。

 また、占いは自社で値付けができるところも選択した理由であります。例えば、着メロなどは、多少の差はあれ、どこダウンロードしても一緒じゃないですか? そうなるとどこで差を付けるかといったら価格ですよね。より安く、価格競争に巻き込まれてしまうんですよ。でも、オリジナルの占いであれば、そうした心配もない。

 ただ、弊社の場合はコンテンツだけのビジネスではなく、コンテンツで囲った会員を活用したマーケティング活動や会員ビジネスにも、当然目を向けております。現在、弊社が抱えている会員数は約420万人程度で、その三分の二がF1層。この層は、占いにも最も興味がある層で、可処分所得もある。コンテンツからスタートして、その後、広告ビジネスやコマースに発展させたときも非常に都合がよかったんですね。また占いコンテンツは、ユーザの正確な属性や行動パターンも取得できたおかげで、CRMの分析が得意にもなりましたね。

コンテンツはあくまでもきっかけということですが、これだけの会員を抱えるには、やはり「コンテンツの質」が高かったからこそだと思います。そこはどう維持されたのでしょうか?

 コンテンツの企画というと閃きやノリで突っ走ってしまうことも多々ありがちですが、弊社はあくまでもデータに基づいて企画・設計を行ないます。すでに何百サイトと立ち上げてきた実績から、データも豊富に揃っております。こうしたサイトだとどれぐらいのPVが見込めるといったことも熟知しておりますので、そうしたデータに基づいて質を維持しております。ただ、いままで経験の無いコンテンツなどは、当然、トライアンドエラーになりますがね。

「特に公式サイトにおいては飽和状態にある」との意見も聞かれますが、御社としてはどういう認識ですか?

 それは十分、認識しておりますね。確かにそのとおりだと思います。ただ、それは総論の話であって、その限られたパイの中で、シェアが動くだけでしょう。外食産業とかも一緒ですよね。でも、それを気にしていたら、何もビジネスが出来なくなってしまう。こういう時代だからこそ、各社の戦略が重要であって、それにより今後のシェアがどう変わるか、といったところではないでしょうか?

コンテンツや様々なサービスを提供してきた御社としては、昨今のCGMの盛り上がりはどのように捉えられておりますか?ある意味、CGMとCPでは相反する部分もあるかと思いますが。

 当社としては、F1層の会員を囲っているので、それをうまく活用していきたいとは思っておりますね。また、その層と携帯は非常に相性が良いと思っておりますので、そのへんも考慮に入れて様々な施策を打っていきたいですね。もちろん、今後はその層を広げ、F2層や男性層も取り込んでいこうと思っております。

御社はコンテンツを通じてユーザを囲い込むことに成功しておりますが、そのへんを苦労されている企業は多いと思います。そういった方たちに何かアドバイス等ありましたら、お教え頂ければと思います。

 まあ、当たり前のことですが、ユーザが知りたい情報をこまめに出してあげるということだと思います。その「ユーザが知りたい情報」が何なのか、そこがポイントになるかと思いますが、そこが先ほども申しましたように、弊社の場合はデータに基づいているということです。トップページのPV、そこから有料会員になるコンバージョン率、退会率など、ちょっとしたデータの変化をいかに見逃さずに、そこでどう次のステップのためのジャッジをするか、そこが重要ですね。

御社は近年、コマースにも力を入れられて、その成果が数字としても表れているようですが、これについてもどういったポイントで成果を上げられているのでしょうか?

 これは扱う商品にもよりますね。ただ、モバイルの場合はメールによるプッシュが非常に大きいと思います。もちろん、そこでユーザが欲していない情報を送ってもダメでしょうが、スーパーのタイムセールのようにタイミングよくプッシュできると、それなりの効果はありますね。モバイルで商品を購入するユーザの特徴は、受動的なユーザが多いんですよ。PCの場合だと、購入する前に比較するじゃないですか?どこが安いとか。前もって、「これを買いたい」と分かっているケースが多いんですよね。でも、モバイルの場合は、そういったこともしづらいですし、あまり値段に拘っているユーザも少ないですね。どっちかって言うと、衝動買いとか思いつきで購入される人が多いと思います。

 だからこそ、欲しいものを、どう気づかせてあげられるかが重要になってきますね。売り文句一つにしても、見せ方が売上げに大きく影響してくると思います。

コンテンツ、コマース、広告、端末の販売とモバイルに関しては、かなり幅広く展開されておりますが、今後はどういったビジョンをお持ちなのでしょうか?

 弊社は、未だに携帯のコンテンツ会社と見られがちですが、携帯を通して商品やサービスをいかにユーザに提供していくかといったことを考えておりますので、その中でいま広がってきているのは、エンターテイメントなことよりも、もっとライフスタイル寄りな側面ですね。おサイフケータイやGPS、ワンセグなどの機能が付いてきておりますので、そういったものを活用して、よりサービスの幅を広げていけたらと思っておりますね。

お忙しい中、ありがとうございました。

今月のキーパーソン
株式会社ザッパラス 代表取締役社長 杉山 全功 氏

1988年 関西大学 卒

大学在学中 株式会社リョーマに在籍

1989年 株式会社ダイヤルキューネットワーク 取締役

1991年 株式会社徳間インテリジェンスネットワーク 取締役

1995年 株式会社シンフォレスト設立 取締役

2000年 株式会社インデックス 入社 経営企画室長

2001年 ストリーミングメディアコミュニケーションズ株式会社(現テック・インデックス) 取締役

2002年 株式会社プラクティス(現インデックス・ライツ) 取締役副社長

2004年 株式会社ザッパラス 代表取締役社長

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