特集:広告・マーケティング業界キーパーソン”リレー”インタビュー

雑誌・書籍・フリーペーパー・ネットを使い、5つのマーケットに対して“感動の輪”を提供 スターツ出版株式会社 代表取締役社長 菊地 修一 氏(Kikuchi Shuichi)

御社は、世間一般がステレオタイプ的に想像する「出版社」というのとは、ちょっと異なり、雑誌やフリーぺーパー、ウェブなど、様々な事業を展開されておりますね。まず、簡単に御社のビジネスについて整理してご説明いただけますか?

 元々は「オズマガジン」を中心とした雑誌をやっている出版社ですが、今現在は雑誌の出版事業、書籍出版事業、フリーペーパー事業などを行なっております。フリーペーパーは「メトロミニッツ」に続き、昨年は50代向けの「ゴールデンミニッツ」を創刊。あとは、「アエルデ」という地域のフリーペーパーなども創刊し、その数はどんどん増やしております。そして4つ目の事業として、「オズモール」を中心としたウェブビジネス。出版社ですが、雑誌と書籍、フリーペーパー、ネットと、大きく分けるとその4つの事業を行なっておりますね。

御社のHPで「感動メディア企業へ」という言葉を拝見しましたが、きっとこの言葉が、御社の今後の方向性を示す上でキーワードとなってくるのだと思いますがいかがでしょうか?

 「感動メディア企業」ということでご説明すると、それぞれのメディアを通じて、5つのマーケットに対して、感動の輪を広げていこうとの考えでやっております。

 5つのマーケットというのは、まず1つには、全国のティーンですね。これが今、書籍でブレイクしている、ケータイ小説なんですが、「オズマガジン」とは大分、読者層が違う女子中高生がメインのマーケットです。昨年出版した「恋空」は、120万部を超えており、今年出した作品も累計で100万部を突破しました。ここのターゲットはまだまだ広がる余地があるので、この輪をさらに広げていこうと思っております。

 2番目は首都圏のOLですね。これは元々、得意としてきた「オズマガジン」です。もはや単なる首都圏情報誌ではやっていけないので、昨年の12月にリニューアルをし、もっと感性や情緒的な価値を提供できるような、作り方に変えて行っております。単なる情報の提供だけでしたらネットで十分なわけですから、ウェブやモバイルでは提供できない価値を提供するような作り方に変更しました。お蔭様で、出版業界全体で見た場合、雑誌の部数は下がってきている状態ですが、「オズマガジン」に関しては、昨年対比で15%ほど部数を伸ばしております。

 3つ目のターゲットとしては、都心のメトロの通勤者。メトロの通勤者で「メトロミニッツ」。これだけで今、相当な広告収入がありますね。これは編集力を売りにしたハイクオリティフリーマガジンで、内容としては書店売りしてもおかしくないくらいのものと自負しております。通常、フリーペーパーにはナショナルクライアントさんは、あまり出稿しないのですが、これに関しては大手企業さんにも多くご出稿を頂いております。

 4番目のマーケットが郊外のファミリーですね。ここに対しては「アエルデ」を通じてリーチしております。元々スターツ出版の創業は、この「アエルデ」という地域新聞からスタートしてるんですね。これを今、地域別に6版立ち上げて、7版目の創刊も準備している最中で、今後、このエリアをドンドンと広げていきます。2駅単位の、本当に地元密着なフリーペーパーですが、これが今、非常に伸びてきております。1号7万部で、計42万部ですね。

 そして、最後の5番目がシニアのマーケット。50代の団塊の世代を狙っていたのですが、男性誌はなかなか難しいんですね。そこでいろいろとマーケティングを行なった結果、その奥様方を狙っていこうということになり、7月に「サマンサの鼻」というフリーペーパーを創刊することとなりました。新聞折込型のタブロイド判形式で20万部発行の予定です。これはご存じの方も多いと思いますが、日本が高度経済成長期に人気だったドラマ「奥さまは魔女」において、そのドラマのサマンサという奥さんの鼻がピクピクっと動くことで旦那の窮地を救うというもので、それをモチーフにこのタイトルにしました。まあ、この「サマンサの鼻」でシニア層にもちょっとした感動をどんどん提供していこうと思っております。

いまご紹介いただいたメディア以外にも「オズモール」も力を入れてらっしゃいますよね?

 「オズモール」も首都圏OLですよね。現在約65万人の会員を抱え、月間1900万PVです。ここでの主力サービスが、オズ限店の"プレミアムシリーズ"というサービスがありまして、ホテルや温泉、ヘアサロン、リラクゼーションサロン、ディナー、ランチなど、基本的に高級店だけを厳選して、そこをワンプライスにして、送客をするというサービスを行なっております。大体、月間で1万5~6000組程度を、この「オズモール」を通じて送客をさせて頂き、これが繁忙期では2万組程になりますね。

すごい数ですね。まさにオズブランドを最大限に活用されておりますね。

 そうですね。「オズマガジン」ではずっと「こういう銀座」や「グルメ」、「お出かけ」、或いは「彼氏とデート」「ちょっと癒やされに行こう」といったことを提供してきましたから、それを現実に移せ、アクションに移せる。しかも、オズのブランドでチョイスしてるお店は、他のサイトさんと違って、「沢山ある情報から検索出来ますよ」という価値ではなくて、オズのブランドで厳選をしてる。だから、間違いないです、と。オズを作っているメンバーが選んだお店しか載せない訳ですね。クチコミではなく、オズの世界観で、「このお店だったらご紹介してもおかしくない」というお店だけをチョイスしておりますからね。「オズモール」は毎年、非常に伸びており、4割ずつくらい伸びてますね。

しかも「オズモール」は、立ち上げも1995年とかなり早いですね。当時の出版業界はネットに対する抵抗はかなりあったと記憶しておりますが、社内でもかなりあったのでは?

 基本的に出版社の考え方ですと、ウェブにコンテンツを立ち上げると、所謂、タコ足食いですか?自分で自分の足を食っちゃうことになりかねないんで、どの出版社もネットに軸足をずらすことはしづらかったと思いますね。要は、本が売れなくなる、と。

 そうは言っても、我々はオズしかなく、そんなことを言ってる場合じゃなかったというのが正直なところでしょうね。ただ、当然ですが、雑誌とは違う価値感を、その当時から強く意識はしておりましたね。同じ価値を、そのままネット上で見れるようになりましたでは、全然意味無い訳ですよ。そういうことをやろうとしている会社さんも、中にはおられると思いますけれども、それではビジネスにならないですし、ユーザーからしても、クライアントからしても、それ意味あるの?となりますよね。メディアの特性や或いはユーザが使うシーンに対して、最適なサービスを提供し、それで「ああ、オズを使って良かった」という流れを作っていこうと、当初から考えておりました。

 ウェブにおいては、オズの価値観で「デートして良かったね。このお店間違いなかったね」というような、ちょっとした感動を広げていく軸をプラス出来るってことですね。

様々なターゲットに対して、そのターゲットに合わせた媒体でリーチを行なっている、そんななかで"スターツ出版らしさ"といったところはどこなのでしょうか?

 一言で言うとチャレンジ精神ですかね。社風的にも元気があり、決して静かな社内じゃないです(笑)。会議なんかでは、特にうるさいですよ。それこそ、上下の隔たりもなく、かつスピード感もありますし。

 日本の景気は良くなってきているのに、この出版業界だけは非常に重たい業界です。成熟産業ですし。働いてる人の年齢も、平均年収も上がり、機動力が無くなってるというのが、出版業界全体に対する率直な感想です。

 マーケットが厳しい中でも逆に伸びよう、「雑誌やばい、書籍やばい」って思った瞬間に、会社は停滞し、リストラだのって話になりますからね。元気を持って、どんどん新しいメディアも出し、人も採用し、新しいこともチャレンジしようじゃないかと、そうすれば勝てると。むしろ逆に景気が良い業界の中では、どこもかしこもそんなことは当たり前にやってる訳で、普通のこんな小さな会社だと、勝ち目が見えない。

 逆に厳しいマーケットだからこそ、チャンスなんだということで、ウェブの方ばかりやる訳でもなく、紙は紙でリニューアルしよう、新しくメディア出そうと。そういう意気込みで社員皆が日々切磋琢磨している。

 そういう元気の良さが弊社の「らしさ」であり、結局それは作っているものにも表れてくる。そんな雰囲気でないと、とても「感動メディア」なんて作れませんからね。

お忙しいなか、ありがとうございました。

今月のキーパーソン
スターツ出版株式会社 代表取締役社長 菊地 修一 氏

昭和35年 北海道旭川市生まれ

昭和59年 株式会社リクルート入社

平成15年 スターツ出版株式会社・事業企画部長就任

平成16年 スターツ出版株式会社・代表取締役社長就任

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