

ゲーム市場において、日本は先進国なので、優れたクリエイターが大勢いる。クリエイターが今までの成功の担い手だったんですね。その反面、クリエイターのセンスや勘に頼りすぎている面があって、企業体としてのバランスを見ると、行きすぎたクリエイター至上主義のようなところがあり、マーケティングやそういった関連の部門の力が弱かったのです。
そうした状況のなか、ゲーム市場がますますワールドワイドな市場になり、それまで日本がリードしてきた市場が、「PlayStation」が発売されて以降ぐらいから、海外、特に米国にマーケットがシフトしてきた。そのひとつの要因が、欧米の会社のマーケティング力の台頭と言われております。
今では市場が逆転し、日本自体の市場は二割程度になってしまった。優れたクリエイターがゲームをつくり続けているのですが、マーケティング力で、欧米のメーカーに市場を押さえられてしまったわけです。
そうですね。まず弊社は、せっかく日本を代表する産業として立ち上がり世界をリードしたゲーム業界なのに、やはり今後も日本を代表する産業として、世界をリードして欲しいという想いから設立いたしました。当然、その舞台は「世界」なので、世界に通じるような会社にしていきたいと思っておりますが、まず足下の日本から、マーケティングをゲームづくりに有機的に活かそうと思っております。
代表的なサービスを申しますと、ゲームマーケットに特化したウェブリサーチによって収集した情報をベースにしたコンサルティングです。
ゲームって、まずはクリエイターの頭の中にあり、社内であってもリアルな完成したゲームのイメージは、クリエイター以外には見えにくいものなのです。結局は、リアルにモノが見えるのは、完成した時、もしくは、完成に殆ど近いような状態になった時です。しかし、その段階でマーケッターが「市場性が云々」とか言ってみたところでゲームの内容は変更できないですよね。そもそも、こうしたコンテンツは、やはりプロモーションや広告宣伝ときちっと連動すべきものなのに、結局それも後付。仕方がないから、無理矢理、理由を後付けして、それに相応しい広告プランやマーケットプランが考えられる。理由を後付できる場合はまだましですが、ひどい時はマーケティングや広告には素人のクリエイターの言いなりになったり・・・こうしたサイクルが、そもそもマズいと。
こうしたことは、クリエイターが引っ張ってる業界では、ありがちなことだと思うんですよね。あるビッグネームのクリエイターが、こうだと言えば、誰も反対しないじゃないですか?その人が意識して、「No!」と言う人を横に置かない限り。でも、一部の成功してるクリエイターは、そういうアンテナもきちんと張っていて、情報も集約出来るから、継続して成功をおさめられる。その人は、それは教えられることもなく、自分自身で身に付いてるのかもしれないし、また、そういうパートナーがいるのかもしれない。でも大多数は、そういう自分の成功にどっぷりと浸かり、それが後々、それ以上の失敗を生むものなのです。そういう状況を無くしてあげたいんですよ。
変えるべきところは変えて、大切な部分は変えない。そこの判断が非常に重要なのですね。具体的には、広告代理店でマーケティングの経験のある僕らが、ゲームを企画したクリエイターに対して、色々とぶつけてみてもその中で色々経験したことをぶつけても、やはり企画に対する情熱も負けるし、当然、イメージの固まってる人とそうでない人間が話しても、全然レベルが違うので、なかなか噛み合わないんですよ。だから、我々としては、自分のキャリアとかそういうものは捨てて、クリエイターに対して何ができるかと言うと、「いかにユーザーの声を、必要な時に、必要なタイミングで吸い上げて、クリエイターに伝えてあげるか」。それに特化しようと考え、出した結論が、ウェブリサーチでのユーザー情報収集をベースにしたコンサルというわけです。
このリサーチで何ができるかと言うと、たとえ一つのことでも、クリエイターが疑問に思ったことを、複数のゲームユーザに訊いて、その回答をクリエイターに戻してあげる。「本当に僕はこれが訊きたいんだ」、「マーケティングの専門家でも何でもないから、自分のこの発想が正しいか、確認したいんだ」みたいな時に、それを預かり、すぐに返してあげる。本当に、今日、明日のレベルで回答を返す。そういうことが理想だと思うんですよ。それによって、クリエイターとマーケッターが寄り添える。で、そこから議論が始まり、彼らもマーケッターの経験や意見を聞いてくれる。そうやって、お互いに助け合える関係が築けると思うんですよね。
日本のゲーム業界が成功してもらう為に、我々が行なったことは、クリエイターにとって、使い勝手の良いリサーチシステムを、まず作ることでした。しかも、出来るだけ早いレスポンスの出来るシステムですね。予備調査も何もいらない。既にゲームユーザを抱えて、必要な人に、出来るだけ沢山の人に投げかけて、すぐに返答が返ってくるようなリサーチです。そこから得られるユーザー情報をもってクリエイターと対話することが大切なのです。
ゲームソフトの会社さんを中心に、10数社程度ですね。大手の会社さんにも、たくさんご利用頂いております。また、一部の調査は公開もしていますので、大半のゲーム関連会社の方が何らかの形で弊社の情報をご覧いただいていると思います。サービスの開始は2003年頃からです。弊社自体は一昨年の12月の設立ですが、その前にアイキスという会社を2003年に起業いたしまして、そこで行なっていたサービスを弊社に引き継ぎ、現在に至ります。
そうですね。最初は弊社のサービスを「こんなものがあるのか!」という興味本位的なところから接して頂き、そのうち「こんなことはわからないか?」とかクリエイターから積極的に話をいただいたり、時には、マーケティング課題を解決するだけではなく、我々が行う報告会をプロジェクトマネジメントに活用いただいたり、我々が想定している以上に活用いただくケースもでてきています。今では、多くのクリエイターの人たちが、我々のデータや我々が行なうリサーチやコンサルを利用してくださり、それを企画に活かして頂いております。クリエイターさんによって情報収集に対するリクエストがまちまちですし、好まれるサービスも、リサーチだったりゲームユーザを呼んでのグループインタビューだったり、また、マンツーマンでのデプスインタビューなど、本当にいろいろですね。
勿論ありますよ、まだまだ。マーケティング的なことを後回しにして「出来ました。ここからどう売る?」みたいな話は、未だに多くありますね。ただ、我々にはゲーム業界に特化している強みがあるので、相談された段階に応じて、ここから最大限何が出来るのかといったことは、ある程度見えますので、その範囲の中で、いろいろとお手伝いをさせていただいております。
一般的なこととして家庭用ゲームであればハードのマーケティングとソフトのマーケティングの二重構造になってしまうというような問題はありますね。PCゲームであっても環境の問題がありました。ただ、本質的なところで言うと弊社が見なければいけないと考えているのは、ソフトです。ソフトがユーザーの価値観や欲求といったものをいかに満たしているかということです。この部分を解き明かすことがゲームマーケティングにとってもっとも重要なことだと考えています。ただ、戦術レベルにおいてはハードメーカーのマーケティングやPCスペックやPC環境に関わるサービスがゲームマーケティングに大きく影響を与えていることは否定できませんから、あるときは相乗効果を上げるメリットとなったり、あるときは制約というデメリットになったり、課題が複雑化する場合が多々あります。それ以外に、本質の部分ではないですが、感じるのは、機密事項の多さですね。一般の商品・サービスと比較しても、なかなかテスト・マーケティングみたいなことはやりにくいです。情報に対する機密の意識が、ものすごく高い業界です。ただ、私個人的には、それは善し悪しだと思っておりますね。何故、機密なのかを理解してないケースも多く、横並びで規則だからみたいなことで、それが当り前なことになっている。
場合によっては「機密を開示して、早く仕掛けてもいいんじゃないんですか?」みたいな話だってあり得るんですよね。 ただ、これもゲーム業界に特化している強みですが、そうした状況も我々は理解しており、少ない情報でも、その時々で最大限できることを提案することもができます。
実は、ゲーム内広告自体は私自身、前職の会社で97年頃には、すでに取り組んでおりました。清涼飲料メーカーさんからちゃんとお金も頂いてね。まあ、その当時からこういう仕掛けをもっときちんとやりたいなぁとは思っておりました。
必要としている広告主もいるでしょうし、これからどんどん増えていって欲しいと思っていますが、メディアとしてやるためには、もっとゲーム会社の理解もないといけないと思いますね。面倒ですよね?メディアとして、広告主から価値を認めてもらう為には、メディアとして効率的であるという情報提供もしないといけないし、また、色々言われますし、言われたくないこともあるじゃないですか?でも、そういうことをきちんと考えた上でどう判断するかってところまで行っていない。もう一皮剥けないといけないのかなぁとは思いますね。それと、今度は売る人たち。広告代理店でも、ゲームがどういうターゲットに効果があるのかを、もう少し科学しないといけないと思ってます。例えば、何かのゲームを買うユーザーはどういう欲求を満たすためにゲームを買うのか、またプレイするのか?アクションが好きだとか、どういうキャラクターが好きだとか、色々ありますよね。またもっと言えば、ゲームの中身よりも他に満たされたい欲求があって、それをゲームで補ってる。例えば、ある人は、コンテンツに関係なく、時間つぶしの為にゲームをやっているかもしれない。オンラインゲームなんかは特に顕著だと思います。例えば、チャットしているだけでよい人もいるじゃないですか?でも、一方で黙々とゲームをクリアしていくことをモチベーションとして、ストイックにゲームをやる人もいる。また、人にわーっと喋ったり、悪戯ばかりして、ゲーム内で悪いことをやって、ストレス発散してる人がいたり。色んなユーザがいるじゃないですか?黙々とゲームをやる人にとっては、ゲームの中味は大きな価値観の中で大多数を占めると思うんですけど、話してるだけのユーザは、別にそのゲームじゃなくても良い。そのゲームへの関与ってすごく浅いのかもしれない。ただ、ビッグ・ネームだから来ているかもしれないし、他に新しいヒットゲームが出来たら、いつでも乗り換えるよっていうくらいの人もいるかもしれない。
そんなところで、何の為に、何を満たす為にゲームをやってるんだってところに遡って、その人たちがゲームというエンターテイメントに求めるものをきちんと考える必要があると思います。更に遡れば、他のエンターテイメントでどう満たしていることとの違いや、他にどういう趣味があり、その趣味で何を満たしているのかとか、ユーザーのライフスタイル全般を科学する視点が必要です。
弊社では、3年以上前からゲームマーケティングを入り口にそういったところを見つけようという試みを行っております。ユーザーのライフスタイルが見えれば、「このゲームで広告に出せば、こういう商品を持っている人と繋がってる」ということが分かるわけですから。きっと、ゲーム内広告のより良いセールス資料も作れるし、ゲーム内広告という意味で見たゲームの評価ということもできるつもりです。
例えば今流行りの、「SecondLife」なんかも、企業の宣伝部の方が研究しようと一生懸命やられているようですが、きちんとした考え方をもって研究しないとゲーム内広告として本当に定着するかどうかわからないですよね。その前に、まずセカンドライフはどういうもので、どういう人たちがそこにいて、どういう生活をして、どういったライフスタイルや価値観を持って、こういう物を買うんだというところを解き明かす努力をすべきです。その上で、そこに広告を出すことによって、それが売れるのかと、そういったマーケティングが無いとね。弊社はユーザー情報に基づいたコンサルをきちんと行うために、本当のユーザーの気持ち、何をそこで満たそうとしているのかというところに視点を置き、ユーザー心理を解き明かす努力を日々行っております。こうしてゲーム内広告という分野に風が吹いている今、我々の知見はゲーム内広告でも、非常に役立つものであると確信しています。
そうですね、出来れば日本のゲーム会社のビジネスステージを今よりもさらに上げたい。具体的には、弊社は縁の下の力持ち的な存在として、ゲーム業界各社のマーケティング機能をレベルアップする。その上で、皆さん本当にクリエイティブな勝負をして下さい、というスタンスですね。ゲーム業界に対しては、デファクトスタンダードなマーケティングのインフラを提供してる、みたいな気持ちでおります。
1989年(株)アサツーディ・ケイ入社。ゲーム会社、映画配給会社、テーマパークなどエンターテインメントビジネスのマーケティングに数多く携わる。
2000年(株)カプコン入社、執行役員マーケティング部長に就任し、マーケティング組織を統括。
2003年(有)アイキス設立。代表取締役就任。ゲームビジネスに特化したマーケティングサポート事業を開始。
2005年(株)ゲームエイジ総研を設立。代表取締役就任。上記事業を分社する。
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