特集:広告・マーケティング業界キーパーソン”リレー”インタビュー

株式会社葵オプトビジュアルマーケティング
代表取締役社長 高橋 弘 氏

御社はオプト、葵プロモーション、葵デジタルクリエーションの3社が共同で設立されたそうですが、まずは設立の経緯をお教え頂けますか?

 ブロードバンド環境が浸透していく中、広告制作物もリッチで、かつクリエイティブなものが非常に求められてきております。そういった状況の中で、広告枠もどんどんと大容量化し、あるいは「Gyao」や「Yahoo!動画」のような動画の無料配信サービスも出てきたりと、表現の手法としてフラッシュだけではない更にその先の、所謂、映像・動画にシフトしていくという流れが見えてきたのが、2005年の中頃ぐらいから。それが大きく動いていくと感じたということですね。

 更に企業側からも、流れの中で映像/動画というものを自社のホームページの中に置いてみたいとか、クリエイティブの中に動画というものを入れて表現豊かなものを使いたいとか、そういうニーズが増えてきました。

 私自身、オプトで制作を統括する立場にあり、そうした企業側のニーズや世の中の流れに対応していかなければならないと考えたときに、「Web」と「映像」の制作には、別々の知見、ノウハウ、経験が必要なこともわかっておりました。そこで弊社はWebは専門ですから、映像については映像系制作会社数十社とパートナーとしてお付き合いさせていただいておりました。

 しかし、ますます動画へのニーズが増し、これはもっと大きな事業になっていくのではないかという方向性が見えてきたので、これはパートナーシップというより、もっと強い絆の必要性を感じました。そこで色々な映像系制作会社さんを見ていくなかで、CM制作で実績のある葵プロモーションさんにお声がけをし、共同で会社の設立に至ったというわけです。

御社は、純粋にネットの動画制作会社という認識でよろしいですか?

 そうですね。初めの段階ではインターネット向けの映像制作会社と言ってもよいでしょう。しかし、弊社は所謂、"映像制作会社"と大きく違うところは、純粋に"映像を作ります"という会社ではないところ。むしろ、プロダクション機能を持ったエージェンシーと言ったほうが適切かもしれません。この業界を見ていると、広告主がいて、代理店・エージェンシーがいて、その下にプロダクションとかが動いておりますが、広告主以下が一緒くたに一つの会社として成り立っているところが、弊社のポイントだと思います。

 企画提案に始まり、制作、納品もしていきますが、主に企業側の目的は映像を作ることでは無く、映像を使って何かしらの効果を出していきたいということなので、そうするとネット上でどうしたらそれが見られるようになるのか?ネット上でそれを使うことによってどうユーザーのアクションは変わっていくのか? とか、メディアのプランニングなんかも私どもの範疇ですね。

葵プロモーションはテレビCMでの実績は多々ある会社ですが、テレビとネットの映像との大きな違いはどんなところにあると思われますか?

 まずテレビとPCでいくと、その視聴態度が大きく違うということですよね。テレビはどちらかというとゆったりと眺めて観る。決められたチャンネルを、それだけを基本的に観ているという状態になりますが、インターネットの場合は、様々な情報を探しながら見るというところが、大きい違いだと思います。当然面白くなければ他に移られてしまうというところが大きいですね。

 また、例えばテレビCMは、テレビの放送規定とか考査の中で、しかも尺が15秒とか30秒と決められております。広告主側の期待も、テレビCMの場合、取り敢えずアテンションと呼ばれる、注意を与えるというところしかできないことも大きな違いでしょう。

 インターネットの場合は、もちろん媒体ごとの広告規定や広告主のポリシーなどもありますが、興味喚起、理解促進、納得という領域までカバーできます。そうすると映像もクォリティーという意味ではなくて、"期待できる効果"というものが違うというところが、一番の違いだと思いますね。

動画というと、いまやPCだけでなくモバイルも出始めてきておりますが、そちらはいかがでしょうか?さらにPC以上の映像の作り方等のノウハウが必要かと思われますが。

 もちろん、モバイルも対応範囲です。モバイルの場合、機種自体の性能の向上や通信料のことなど、まだまだの部分はありますが、テキスト情報だと長くなってしまうものが、映像だと省スペースで伝えられる点が、一番のポイントですね。

 ただ、やはり作り手としては発想を変えていかないといけないところも多く、例えばPCと違うのは、PCは見ていて他のことも出来たりしますが、モバイルはそれを見たら、見ながら他のことは中々出来ない。そういう特性を踏まえた上で制作していかなければならないところは、気をつける点でしょう。

現状、すでに動画広告を始めているのは、どんな企業や業種でしょうか?

 業種というよりも、会社の規模の大きさや商品自体がマスに訴えている会社さんはテレビCMもやっており、映像の持つ力や実際のコスト感も普通に分かっていらっしゃるので、ご理解いただくのは早いです。

 業種に限らず、多くの会社さんは「皆さん動画をご利用なさりたいですか?」と聞くと、大体は「したいです」と言う。ただ、どうしていいのかがわからない。コストもわからない。コストを出そうとしても、コスト感がないので低いモノしか今のところは見えてない。多くの方たちが、初めの一歩を踏み出そうか、踏み出さないか迷い、「そろそろ踏み出してみよう」みたいなところではないでしょうか。

今後の事業展開をお教え頂けますか?

 現在は、インターネット向けの映像制作とインターネットの動画関連のマーケティングを支援する会社ですが、今後はネットに限定されない展開をしていくことになっていくかと思います。というのも、映像・動画の特性上、デバイスを選ばないのため、映像は基本的にどこでも入っていけるからです。

 インターネットからスタートしてますけど、全体のプロモーションがインターネットの範囲から超えていき、インターネット向けと言いながら、実はそれはモバイルでも使え、テレビでも、BS・CSでも使えて、屋外広告もどんどんデジタル化されてて、そういった意味ではどんどんフィールドが拡がっていくと思います。

 そういうなかで私どもは広告主側とメディア側の両方の支援を行おうとしてるわけです。どういうことかと申しますと、広告主側の支援は、所謂、インターネット上でのマーケティングの中で映像をどう使うか、その映像の中身どうしよう、その広告はどうしよう、というところをお手伝いする。

 メディア側の支援というのは、例えば映像コンテンツを提供してあげるとか、調達コストをかけずに映像コンテンツを調達できるよう、僕らが間に入って実現させる。これはどういうことかと申しますと、今、広告とコンテンツは非常に近しくなって来ているということ。今までは広告は広告、コンテンツはコンテンツだったのですが、それが融合し始めている。かつては、TVドラマの放映では、ドラマとドラマの間にCMが入っておりましたが、今はドラマの中に企業が入っていき、自然なストーリーの中に商品が入ってきております。

 これはテレビ業界の方が、CMの閲覧率が下がったり、飛ばされることを防ごうということで、ストーリーの中でタイアップするという考え方を持ったわけですが、これなんかは、まさに広告とコンテンツの融合と言えるでしょう。企業側がストーリー性のあるコンテンツの中で、自社のブランド、自社の商品を自然と伝えていく。これをプロダクトプレイスメントと呼びますが、そのコンテンツを企業側のお金で作る。映像は企業側のモノなので自社のホームページで見せてもいいですし、何に使ってもいいのですが、その企業側のブランド商品がプレイスメントされたコンテンツ自体は、コンテンツとして媒体側に提供してあげられる。そうすると広告とコンテンツが一緒になっているので、媒体側としてはコンテンツとしても取れるし、広告としても取れる。で、広告だったら媒体側としては「お金下さい」なのですが、コンテンツを欲しがってるので「コンテンツだったら無料でもいいです」ってことになるのですね。

 なので、通常広告だったら1千万円かかる。コンテンツだったら0円で貰いたいものの、ちょうど間のところで、企業側はコンテンツを作ることで掲載費を上手く交渉が出来て、コストを抑えながら掲載されていく。一方、メディア側はコンテンツが企業側から貰えて豊富になり、かつコンテンツの調達コストも掛からない、と。

 ですので弊社は、企業のマーケティング活動の支援の一環で、映像を作りながら、それをメディアに提供するということで、メディアの支援もしていく、というような両方を支ているという立ち位置で展開していきたいと思っております。

お忙しいなか、ありがとうございました。

今月のキーパーソン
株式会社葵オプトビジュアルマーケティング
代表取締役社長 高橋 弘 氏

2000年3月
株式会社オプト入社 イースマイ事業部 カスタマーサポート部部長に配属
2001年1月
広告営業本部 部長
2003年1月
マーケティング部 部長
2004年1月
事業本部 事業部長
2005年1月
クリエイティブ本部 本部長
2006年10月
葵オプトビジュアルマーケティング 代表取締役社長(兼務)

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