特集:広告・マーケティング業界キーパーソン”リレー”インタビュー

株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)代表取締役社長・CEO 石坂 信也 氏

ゴルファーという母数は非常に多いながらも、マーケティング的に見た場合、非常にセグメントされた層に対してビジネスを展開されておりますが、そもそもどういう特性だと認識してビジネスを展開されているのでしょうか?

 まずメディアとしては、ゴルファーの視点を大事にして作っており、ゴルファーにとって重宝されるサイトであり、価値の高い情報の提供を心がけております。これが基本です。おそらくこれからも変わらないし、変えたくない。マーケティング的にというよりも、お客様目線で、どういうものが喜ばれるのか、そういうことを常に考えております。

 とはいえ、マーケティング的に見た場合、ゴルフというスポーツのライフサイクルは意識しています。ゴルフを始めたばかりの初心者からコースに頻繁に行く人、はたまた家族と楽しむ人や、観戦をすることが多い人、ゴルフ用品に拘る人など、人により様々なテーマがある。テーマごとのゴルフとゴルフのライフステージとしては腕前や頻度とかいろいろありますが、我々が心がけているのは、さまざまなゴルフの楽しみ方がある中で、できるだけ多くの情報とサービスを、便利かつ豊富に用意する。こういう考え方でサービスを展開しております。

そもそもゴルフでビジネスをはじめようと思ったきっかけは?

 元々は自分でビジネスをはじめたいという思いと、その過程のなかでインターネットの活用が順序だててありました。そして、それらを考えている時期に、たまたま自分の中で「インターネットでのゴルフサービス」というテーマにたどり着いたんですね。それはビジネススクールに行っていた時期でもあり、いくつか課題をやらなければならない中で、どうせやるなら、1つぐらい自分の趣味の分野でレポートを書いてみたいと思い、いろいろ調べた結果、ビジネスチャンスが見えてきた。

 もちろん、他にもきっかけはいろいろとあったが、最終的にビジネスとして本気でやり、前の会社を辞めるかどうかという、最後の決断の部分は「好きなゴルフでトライしてみて、だめだったときは仕方が無い」と、踏み出すための頭の整理にはなりましたね。

現在のゴルフ関連市場はどのくらいの規模でしょうか?

プレー人口は約1080万人(2006年レジャー白書)程度と言われており、世代的に見ると30~50代がコアな層です。ただ、最近は30~40代や、女性プレーヤーも以前に比べ増えてきている。

 金額に換算すると、ゴルフ場に落ちる金額は1兆1,330億円、用品市場が4,400億円(2006年レジャー白書)、その他、トーナメントやゴルフ練習場などを合わせると大体2兆円程度の市場になるのではないかと言われてます。ただ、ここには会員権売買は含まれていません。それこそ、バブルの頃は会員権売買だけで数兆円あり、それらを合わせると10兆円程度の時期もありました。

例えば、ここ数年、ゴルフ関連市場は伸びているのでしょうか?

 ここ2年ぐらいでは底打ちした感はありますが、金額的には縮小しておりますね。ただ、金額は縮小しているものの、活性化はしてきています。活性化してきているのに、なぜ金額が落ちているかというと、ゴルフ場でのプレイ料金やゴルフ用品の価格が、適正化してきているのがその要因といえます。つまり平均単価が落ちてきたということです。

 昔は供給不足のなかで、需要が先行しており、しかもそれが会員権という形で需要が先行していました。ストックビジネスとして価格が設定されていたんですね。しかし、現在はフローとして、「日々、来場者がどれくらいあるのか」といったところから、価格の設定がなされるようになってきました。

 結果として、プレイ料金はここ5年ぐらいで約半分ぐらいの単価になっています。それが金額的な縮小につながっていると思いますが、価格が落ちたことによる需要の高まりもあるので、市場の縮小がイコール不安材料ではないですね。

そうした業界の変化を含めたユーザーニーズの把握はどんな形で行なわれているのでしょうか?

 我々自身がゴルファーということもありますので、その視点を前提として、あらゆる手段を使ってゴルファーのニーズを把握するようにしていますね。サイトのトラフィックやトランザクションでのデータの分析、これらを考慮した上で、小売としての従来からあるような分析手法も使います。あとは、ごく一般的な満足度調査や第三者機関によるリサーチなども行なっていますね。

「ゴルフダイジェスト・オンライン」自体は、元々はゴルフ誌「ゴルフダイジェスト」から派生されたものかと思いますが、誌面との連携は?

 あまり行なっていないですね。このビジネスを始めるときに、いろいろと調査を進める中で、ネットビジネスを行なう上で出版社の影響が多いと、大抵は失敗し、現に成功した例もほとんどないことを把握していました。私自身のこだわりとして、周りからは同じように見られても、実態は雑誌とは独立した形で出来なければ、やりがいも無いと思っていましたので。やはりネットビジネス自体は、独自の感覚とかスピード感でできないと、従来のメディアの理屈や制約のなかでは、絶対成功しないと思っています。スタートしてから何度か試みましたが、メディア同士が乗り入れるのは、現状は難しいと感じましたね。そこを無理して連携するより、それぞれが最強を目指してやっていけば、いずれはどこかで、自然な形で連携ができるかもしれない、そんな気持ちでおります。ただ、モバイルビジネスに関しては「ゴルフダイジェスト」と一緒に共同で運営しています。

 あと、連携というところでは、最近ではテレビ東京と合同会社を作りました。こちらはゴルフのトーナメント中継の地上波とネットの連動中継などを皮切りにスタートしたばかりですが、今後、新しいメディア展開や広告事業、ゴルフ検定などのゴルフ・エンターテインメントビジネスを考えており、現在事業モデルを作っている最中ですね。

今後の展望を教えて頂けますか?

 ゴルフ分野で出来ることはまだまだあると思っています。例えば、つい最近だと、中古ゴルフ用品の買取販売で全国に21店舗を展開している会社の事業譲渡を受けました。我々がゴルフの店舗を買うことが目的だと思われがちですが、ゴルフ用品市場においては、新品市場と中古市場があり、今回の取り組みは今後の中古市場の強化を目的としており、これを達成するのに必要なものだったということです。また、現在アジア圏でのゴルフ人気も高まってきておりますので、日本だけでなくグローバルに考えたときに、ゴルフという市場の中で、いかに自分たちが位置付けられるのか、そうしたことを考慮した展開も予定しております。

 そして、もっと長期的にはゴルフだけでなく、かつ会社というよりも個人的な志としては、日本自体のゴルフ場やリゾート地などの「観光」や「環境」といったところのプロデュースや情報発信、サービスの提供。これによって、日本の観光資源や環境を活かし、より充実したライフスタイルをおくるためのお手伝いが出来ていけたらいいなと思っております。

お忙しいなか、ありがとうございました。

今月のキーパーソン
株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)代表取締役社長・CEO 石坂 信也 氏

成蹊大学卒業後、1990年三菱商事入社。
液化石油ガスの輸入業務、輸送船の配船業務、アジア地域への貿易及びプロジェクト推進に携わる。1999年ハーバード大学にてMBA取得。
その後、同社金融企画部にて企業買収業務、ベンチャー投資・立上業務に従事。
2000年5月(株)ゴルフダイジェスト・オンラインを設立。代表取締役社長就任。
既存ゴルフ業界及びゴルフ商品流通、ゴルフ場サービス業などの従来型産業にインターネットを持ち込み、新規性の高いビジネスモデルを立案し、新しい付加価値の創造に取り組む。低迷していたゴルフ業界の活性化に繋げ、会社の成長と共に2004年東証マザーズに上場を果たす。
企業やビジネスモデルの立上げのみならず、継続性のあるビジネスオペレーション構築に強みを持つ。
今後も強いリーダー育成を支援すると共に、組織力の強化を軸とした真の継続的な経営の追求をテーマとしている。

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