特集:広告・マーケティング業界キーパーソン”リレー”インタビュー

株式会社セプテーニ 代表取締役社長 佐藤光紀氏

今や御社は一言で代理店と言えない程、グループ会社含め業態が広がってらっしゃると感じておりますが、実際、御社が目指されている業態のゴールはどこにありますでしょうか?

 当社の事業ドメインは「Eマーケティング」領域にフォーカスしております。

 弊社はベンチャー企業でまだまだ未成熟。ある分野にフォーカスすることで力を発揮出来ると考えております。過去の経緯で言うと、バイク便の事業や人材サービスなど、多角的にやっていた時期もありました。しかし外部からは「何をやっているかわかりにくい」といった声も聴かれました。

 そこで、事業をフォーカスしていこうということで、特にインターネットを使って物を売る仕組みの部分、インターネットマーケティングで一番になろうと決めました。

 現在当社グループは持株会社セプテーニ・ホールディングスの他に事業会社として連結子会社が9社、持分適用会社が3社の計12社で形成されている企業集団になるのですが、ほとんどの会社でインターネットマーケティングに関わる事業を行っています。

インターネットマーケティングで展開されているというお話ですが、競合の会社とはどこに違いを見いだそうとされておりますか?

 まずは大枠の概念の部分と個別の部分と分けて考える必要があると思います。まず大枠の概念で申しますと、当社グループの強みであるキャッチフレーズは「人と技術」。お客様が他社ではなく当社に発注していただいている理由は、当社の人材に魅力を感じ、そしてサービスが良いからであると思います。

 個別の部分のお話をさせていただくと、「技術」というのはマーケティングのナレッジと、自社で開発しているコンテンツ、テクノロジーの3つです。これがお客様に当社を選んで頂けている「技術」の強みだと思っております。

色々な代理店さんの動きを見ると、御社もメディアとしてモバイルの媒体社をお持ちでいらっしゃいますが、ああいった動きは御社としては必ずしも勝てる条件にはならない?

 ならないですね。メディアは弊社にとっては競合ではなく、パートナー的存在であって、メディアに対しては「足りないものを供給する」というスタンスを基本的に取っております。

 メディアというのは基本的にはコンテンツを中で作ったり、テクノロジーを中で開発したりと、やはり不足する物があります。ポータルサイトは、アグリゲーションに価値があり、例えばYahoo!!さんの中で作ってらっしゃるコンテンツはごく一部であって、それはサーチだったり、オークションだったり、ショッピングであったり。しかし、一方で、ニュースの配信は通信社から提供を受けていたりと、コンテンツやテクノロジー等の提供を受けて成り立っているわけです。

 なので、メディアさんに対しては広告枠の販売というような支援の仕方と、もう一つはテクノロジーなりコンテンツなりの供給という2つの支援方法があると思っており、当社はその両方をやっていくというのが対メディアに対しての立ち位置です。
決して「勝つ」「負ける」の存在ではないと思っております。

現段階でマーケティングにおいて特に注目してる、もしくは注力してる分野は?

 当社が市場の成長率以上に成長していく、つまりマーケットストレッチを超えた成長を実現するには、やはり事業をフォーカスするしかないと考え、成長分野と認識している「サーチ」「アフィリエイト」「モバイル」の3つの分野にフォーカスしてきました。

 今、足元の商品別のセグメントで言うと、大体この3つの分野の合計が結果として事業の約6割を占めています。又、今期あたりからは、動画とCGMの分野にも本格的に当社が経営資源を投下し、ニーズを顕在化していこうと思っています。

佐藤社長から見て、広告業界はこれからどういうマーケットになっていくと思われますか?

 広告業界自体は、一言で表すとインターネットの登場で劇的に地盤が変わったタイミングを迎えていて、ネット広告が伸びているというのは、その端緒でしかありません。そういう意味で広告業界というよりは、広い意味でのマーケティング業界として垣根が無くなり、ネットの登場により境目がどんどん曖昧になっていくと思われます。

 従来の広告市場の規模は6兆円と集計されておりましたが、当社が考えるマーケティング市場は、必ずしも広告メディアだけによるものではありません。

 例えば、リクルートさんが出してる出版物は情報誌であり、広告でもあります。これはある意味、広告費でしょう。また、企業がウェブサイトにかける費用は、リアルの店舗に置き換えると売り場構築にかける費用であり、それもある種の販促費といっていいと思います。こういったものは、従来の広告業界においては対象外でありましたが、前述の部分を含め合計すると市場規模は、10兆円程度の規模に膨れあがります。
  つまり、従来型では6兆円と定義されていますが、当社が今考えてる市場は「広告」プラス「販促」の10兆円のマーケット。ネットの登場でこの境目が、どんどんと曖昧になってきております。なぜならば、今まで企業はメディアとしてのWEBサイトに出稿し、ブランド価値を高めることが目的でした。しかし、これからはWEBサイトで物を売ることが出来るようになったということで、費用対効果をより明確に捉えていくことが出来るようになったからです。

 当然、企業は目的もなくマーケティングに費用を投じている訳ではなくて、そもそも、商品を流通させなければならないのです。ネットの場合は次々にその「物」が売れていきます。売れて、流通してと、流通と広告がセットになっているわけです。

 しかし、リアルの世界は広告と流通は別です。コンビニ等の店頭で物を買うことを含めて販売なので、そういう意味では、企業が販売するために流通にかけているコストは、実際のところは全てマーケティング費なのです。

 ですから、流通対策費と呼ばれる企業側の費用は、片手で広告代理店に広告費を渡し、片手ではコンビニにリベートを渡す。これはどちらもマーケティング費です。物を売るために必要な宣伝と流通のコスト。それがネットの場合は一緒になっており、これがインターネットの出現によって転換する部分になると思われます。

 つまり、「従来のメディアがネットに転換する部分」と「販促がネットに転換する部分」に加えて従来オフラインであった「流通の部分」がインターネットの登場によって、10兆円のマーケティング市場として一つになる。

 これが今後、広告を取り巻くマーケットの姿であると思われます。

確かに弊社も一部で広告のセンダーをやらせていただいてますので、グレーな流通コストというのは、物凄く販促で噴き出してるのは感じられます。

 広告業界はネットの登場によって劇的に地盤が変わりました。しかしそれは地盤沈下することではなく、それによりファジーだったものがクリアになったといえるでしょう。企業側のマーケティングコストの配分率が変わるだけで、どちらが得をするとか損をするということではありません。配分が最適化されると全体が増えるので、企業業績が上がるのです。
  上記をふまえて、ネットの登場を広い意味で考えると、マーケティングそのものの構造の変革であって、それによって企業の業績が伸びるための道具でありエンジンである、と私達は考えています。

お忙しいなかありがとうございました。

今月のキーパーソン
株式会社セプテーニ 代表取締役社長 佐藤光紀氏

佐藤光紀(さとう・こうき)
1975年東京都出身
立教大学法学部法学科卒業後1997年4月株式会社セプテ ーニ入社
99年新規事業責任者としてインターネット広告事業を開始
同社を国内トップクラスのインターネット広告会社に育てる
現在、株式会社セプテーニ代表取締役社長

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