特集:広告・マーケティング業界キーパーソン”リレー”インタビュー

シンフォニーマーケティング株式会社
代表取締役社長  庭山 一郎 氏

まず御社の事業内容をお教え頂けますか?

 当社はサービスを提供する企業をB to Bに特化をしてるところが大きな特徴だと思います。事業モデルとしては、クライアント企業の顧客・見込み客データをお預かりし、管理・育成・分析を代行するというサービスを行っております。顧客データの名寄せや競合削除などの整理整頓から始まり、メールやWebを使っての育成、そしてコミュニケーションの結果を分析・解析し絞り込みをして、最も有望な見込み客を、そのクライアント企業の営業チームや販売代理店の営業チームに対してレポートしていくといったサービスをワンストップで実現をしているのが特徴ですね。

一言で言うと「データベースマーケティング」ということでしょうか?

 データベースマーケティングと言ってしまうとデータベースを中心にしたマーケティング全般なので広いですね。我々のサービスはその中のB to Bだけという部分と、データの管理・絞込みという以外の部分、例えばテレマーケティングや販売代行、イベント企画などの業務を全く手がけておりません。

 また、リード・ジェネレーションと言われている見込み客リストを集めるサービスとして今流行っているネット広告(リスティングやアフィリエイト)のサービスメニューも持っておりません。ですから、お客様が、「過去もしくは現在集めているリストの管理をする」という部分、マーケティング用語では「リード・クオリフィケーション」、と呼ばれている領域に特化しております。

 具体的に言えば顧客を集めるための展示会やネット広告と、SFAのように営業と案件を紐づけて管理をするようなソリューションの中間の部分を担当するサービスを行っております。

特化されている理由は?

 当社の成り立ちからお話させて頂くと、設立は1990年で、そこから約10年間はデータベースマーケティングのコンサルティングをやっておりました。そのときは私一人で立ち上げたものですから、規模も今よりは小さく、クライアントも、例えば地方のカーディーラーや、特定の地域に数店舗展開しているガソリンスタンドなど、そういったところから始まっております。私自身、マーケティング畑だけを歩んできた人間で、1993年にアメリカのダイレクトマーケティング協会のメンバーになり、アメリカのダイレクトマーケティングのメソッドを日本流にアレンジして日本の企業にコンサルテーションするといったことを、設立から10年間やっておりました。

 日本でも1990年代の後半にCRMとかSFAといったマーケティングソリューションの導入ブームが起き、各企業はこぞって導入しましたが、導入企業のほぼ99%は導入失敗だったと思います。営業現場から「全然使えない」と評価され、数億円かけて導入したシステムを止めるといった事例をたくさん見てきました。

 そこで2001年に社内にリサーチプロジェクトを立ち上げて、「何故日本の企業は、欧米では当たり前にやっているデータベースマーケティングが出来ないのか」ということを調査し始めました。そこで分かったことが、日本の企業は顧客・見込み客データの名寄せなどのマネージメントが非常に弱いということでした。

 逆に言うと、他はレベルが高いのです、日本は。例えば、見込み客リストを集める機能や、専門性の高いイベントも沢山あり、リスティングもアフィリエイトもあるし、リストを買うことも出来るし、アポ取りのうまいテレマーケティング会社も沢山ある。また、日本の営業マンは基本的に優秀だと思います。アメリカみたいに完全に歩合制でないにも関わらず、日本の営業マンは基本的に真面目な努力家でしかもかなり優秀です。顧客のメンテナンスに関しても、日本人ほどのハイタッチなセールスをやる国は無いでしょう。休みの日にゴルフに付き合ったり、夜中まで酒を飲んだり、徹夜で麻雀に付き合ったりと。

 ですから、弱いポイントが「データ管理」だけだったら、そこをサポートするビジネスプロセスアウトソーシングを作ろうということになりました。外注していただければ、企業の苦手なデータ管理を代行し、それによって問題を解決し、マーケティング活動から営業までの間の大きな隙間がしっかり繋がるだろうという仮説で、今のビジネスを作ったというわけです。

しかし、現状はどうでしょうか?時代も変わり改善はされているのでしょうか?

 日本企業がデータ管理が苦手だという問題はむしろ今の方が顕在化してると思います。昔は正直、その問題すらよく分かっていなかったのですね。

 例えば、ある会社でWebをリニューアルしました。リスティングにお金をかけ、アクセスも伸びましたと。ところが社内の営業がそれを評価してない訳です。何故ならば、アクセスは上がったかもしれないけど、「資料請求は増えていない」とか「資料請求はあったが営業エリア外だった」とか。つまり営業案件になっていないことで不信感を持たれているのですね。だから、「データを管理し、絞り込む」ところがしっかり機能しないというのは、企業にとって非常に不幸なことなので、それをきちんと繋げてる会社はいったいどうやっているのだろう、という理由で弊社への関心も上がってきていると思います。

 ですからお陰さまで、B to Bのマーケティング担当者の間では、少しずつ知名度も上がってきまして、100名程度のセミナーであればすぐに満席になります。それは問題を解決した事例を聞きたいということで参加されているのだろうと思います。

 最近当社のセミナーには競合会社さんも紛れ込もうとするのですが、そこはそれ程厳しく排除はしておりません。それはちゃんと知れば知るほど、真似をするのを諦める位のレベルでやっているからなんですね。

先ほど「クライアント企業の殆どがシステムやツールを使いこなせず失敗した」とおっしゃっていましたが、その原因はどこにあったのでしょう?

 明確に言うと二つだけです。一つは残念ながら、日本企業の社内にデータベースマーケティングのノウハウが蓄積されていないという問題です。マーケティングを担当されてる方が体系的にマーケティングを学んだ経験を持っていらっしゃらない方が圧倒的に多いこと。これは仕方がないですよね。日本の大学でマーケティングを専攻しても実践的なことは何も教えてくれませんから。そもそも教えてる教授が民間企業で実際にモノを売ることに頭を悩ませた経験がない人達なので、例え大学の商学部を出ていても殆ど体系的なナレッジというか、知識を持ってないんですよ。多くの方が去年まで営業にいたとか、広報にいた方がいきなりマーケティングに配属されて実際の業務を行っておりますから。

 もう一つの原因は、日本の法人データのデータ管理は圧倒的に世界で一番難しいんですよ。それを知らないで頑張っているケースが多いのです。八ヶ岳をトレッキングしているつもりで実はヒマラヤに登っていたとしたら確実に遭難しますよね。それと同じことが起きています。

具体的に言うと?

 例えば、当社の名刺には住所が「日本橋本町3-4-7」と書いてあります。これは当然ながら略です。正式表記は「三丁目4番7号」です。「三丁目」の「三」はローマ数字ではなく漢数字です。これは登記上の正規化です。でもそんな風に名刺に印刷している会社はほとんどありません。

 しかし、コンピュータは、この「3-4-7」も「三丁目4番7号」も同一住所として認識できないんですね。この表記の揺れというのが実は非常に多いのです。ビルの階数にしても「階」と「F」の表記がありますし、また苗字などでもこうした例は多く見受けられます。世界でもここまで曖昧な言語体系は少ないですよね。アメリカ人と話をしてると「何で日本人はシーベルなどの世界的に活用されているCRMを使えないんだ」と質問されます。ダブルバイトでコーディングしたので、アジア圏はOKな筈だと言いますが、コーディングの問題ではない、といつも説明しています。日本語の特殊性の問題であり、表記が揺れることが問題なんだ、とね。

 データベースマーケティングの最も原理原則の部分は「ユニーク」なんですよ。会社もひとつ、1人の人間も1人でなければマーケティングが始まらないのです。ユニークでないデータを使ってマーケティングすると事故を起こすし、クレームになります。それにどんな分析をしても意味がないのですね。

最後に、今後の事業展開をお教え頂けますでしょうか?

 先程も言ったとおり、日本は先進国でありながらデータベースマーケティングはすごく遅れています。最先端のアメリカから比べると10~15年は遅れてると思います。
それが僕らはすごく嫌で、世界に通用するマーケティングをやろうよと、いつも言っています。経済的には先進国なのに、マーケティングだけ後進国というのは嫌なんですね。
ならば、世界のトップクラスのマーケティングを企業が行うためには、やっぱり世界のトップクラスのこうしたサービスベンダー、サプライヤーがいなかったら出来ないと思います。

 つまりマーケティングの工程全部をクライアント企業が社内でやるなんて実質的に不可能ですから、最良のサービスを提供してクライアント企業に世界に通用する高いレベルのマーケティングをして欲しいと考えています。そういう意味では僕らはあまり売り上げや利益や社員数にはこだわりはなく、それよりもアメリカにある沢山のデータベースマーケティングサプライヤーに追いつき、追い越してやろうと考えています。真面目に世界一のデータベースマーケティング企業になろうと思ってますね。(笑)そこ以外の目標を実は僕らは持ってないですね。

 事業計画的には上場等は視野に入れておりますが、それも我々にとっては綺麗ごとではなく、単なる手段であって、B to Bのデータベースマーケティングに関しては世界No.1の企業になることだけを考えています。

お忙しい中ありがとうございました。

今月のキーパーソン
シンフォニーマーケティング株式会社
代表取締役社長  庭山 一郎 氏

アスクプランニングセンター、日本オルテックでマーケティングディレクターとして勤務。
1990年9月にシンフォニーグッドスタッフ(現シンフォニーマーケティング)を設立。
企業のマーケティング戦略策定や、データベース・マーケティングの導入コンサルティング、インターネット関連事業などを手がける。
2001年より実務的なマーケティングの経験を基に法人営業の顧客・見込み客管理に特化したアウトソーシングビジネスに着手。
国内では未開拓の分野に取り組む。

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