

●なぜ企業はマス広告をし続けるのだろう?
どんなに売れている商品でも何も手を加えなければ必ず衰退期はやってくる。
普通、“広告”というものを表現する場合、“マス広告”のことを指しており、不特定多数に自社の商品やサービスをアピールする表現方法である。商売をする上において、マス広告は絶対条件ではない。もちろん自社やブランドに対する熱狂的に溺愛する優良な顧客を既に大量に抱えている企業であれば、その優良顧客に対してダイレクトマーケティングすれば良い。高いCSを維持することができれば、その企業やブランドから新製品が発売されたとしても、企業やブランドに対しての忠誠が顧客にはあるので売上は維持される可能性は高い。
しかしどんなに顧客から長年愛されている、つまりは信頼の強いブランド企業でも、自社が抱えている顧客を永遠に保持し続けることは不可能だ。企業に落ち度がなくとも、顧客は「ブランド選択の自由、アハハ~ン♪」とばかりに突然浮気心を働かせる。結果、企業は存続し、成長し続けるという命題において“新規顧客”を獲得し続けなければならない。
●自信のある商品ならば、他社の製品も勧めよう
利己的な主張をすれば、人々は断固として抵抗する。しかし、自分ではなく顧客の要望を第一に考えているように見せれば、客は群れをなしてやって来る。
広告における大きな過ちを二つ挙げるなら、それは自慢と利己心である。
(本書109ページより抜粋)
言うに及ばずマス広告を打つには多額の費用がかかってくる。大きな利益を出していて潤沢に広告費を出せる企業ならいざ知らず、1回の広告に社運の全てを賭けているような中小企業であれば、その1回に気合を入れてくる。企業はライバル企業からの自社への乗り換えを顧客に促し、自社から他社への乗り換えを阻止しようとするのだ。その結果「類似品にご注意を」、「本物をお求め下さい」というコピーを出してしまう。著者がこのミスに陥らず、顧客の目線に立ち、自社の製品がいかに優れているかをアピールするコピーとして「ライバル製品もお試しください」というコピーを採用した。
このメッセージがいかに素晴らしいものであるかお分かりになるだろうか。このメッセージは顧客の目線に立った企業であることや、それだけ自信を持った製品であることをアピールするだけに留まらない。「イヤなら無理して買わないで良いですよ」というような殿様広告は、クレーム回避に繋がるということも見逃せ無い。
広告やマーケティングは恋愛と同じだ。「お願いします」の懇願広告や、ビジネス色の強い広告を見ると、人々は引いていく。押せば彼女は逃げていくのだ。
今日でも、大半の広告は「うちのブランドを買え」と訴えている。このような訴えが人々の心をとらえたことはないし、これからもないだろう。
(本書110ページより抜粋)
●イメージ広告に走るべからず
広告業の経験がある者、中でも紙媒体の広告の経験があるものは費用対効果の良い広告がどのようなものであるのかが分かっているはずだ。一般の人間は広告と聞くと、TVの広告をイメージする。その中で、広告大賞を取るような新鮮でオシャレなイメージ広告を連想する。たとえばユニクロや日産、アップル、ソニー、コカ・コーラのようなTVCFである。
これらのオシャレなCMは大企業でブランドが確立されているから許される芸当だ。イメージ広告は「顧客の脳裏にブランドネームさえ残れば良い」という考えであり、この広告の悪いところは、広告の費用対効果が数値で測られないところにある。広告に携わる人間なら、誰しもオシャレなイメージ広告を打ち、新しい伊吹で自分のセンスをアピールしたいと思うものだろう。
しかし費用対効果に敏感な広告マンこそ優れた広告マンであり、特に紙媒体の広告においては、「これでもか!」と言うほど情報は盛り込み、小さい文字で顧客に伝える広告をしなければならない。
これは事実だ。スペースを無駄にしないという原則は、何百もの商品で何千回ものテストを繰り返した結果、普遍性があることがわかっている。どんな商品の広告でも、スペースを無駄にするのは愚行であることが証明されている。
(本書171ページより抜粋)
紙媒体の広告で“大切なこと”をこれほど明確にしている本はない。本書で絶対に読み飛ばしてはならない「広告でいちばん大切なこと」は個人的に上記の指摘だと言いたい。
●100年経っても色褪せない広告の真髄
本書は約100前のアメリカで活躍した天才広告マン、クロード・ホプキンスの自叙伝を元にしている。現代は100年前に比べて、マスメディアが飛躍的に発展した。しかし広告の表現方法は幾度となく変容してきても、作り手が広告に入れ込むメッセージは今も、100年前も変わらないということが本書を読んで気づかされることだろう。
もちろん広告のイロハを説明した書物は本書以外にも数多く存在する。
「是非違う広告本もお読みいただきたい。」
ここで強調したいのは、私の主張は常に利他的だったということである。私は常にサービスを提供した。人々が何のリスクも負わずに試すことができるものを提案した。
(本書87ページより抜粋)
【オススメ度(辛口)】
広告でいちばん大切なこと ★★★☆☆
次回コラム予告
「花を売らない花売り娘の物語」
【関連サイト】
沖 広一郎 ブログ
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