各業界のリーディングカンパニーに聞く、この「近未来」シリーズ。第一回は「SEMの近未来」について、オーバーチュア株式会社・佐藤 秀一 氏にご登場頂き、現在の市場分析を交えながら、同市場の「近未来」を語って頂いた。
【1】 SEM市場の現状
2006年のインターネット広告費(※注1)は、全体で3630億円という規模であったが、その内訳は、固定ネット広告費(バナー広告等)の割合が約64%、モバイル広告が約10%、検索連動型広告は26%。この市場自体は2002年に誕生したものだが、すでに金額ベースでは930億円の市場規模にまで拡大し、現状としては更なる成長への通過点に過ぎない。
TVCMや電車の中吊り広告、ティッシュ広告によく見受けられる「○○で検索」が一般に普及してきたことでも分かるが、「検索」という手法が何か行動する、情報を入手する過程において、一般ユーザレベルにも浸透し、人々の生活の中の行動の一つとして一般化してきている。こうしたユーザ行動の変化が、検索連動型広告費という目に見える数字として表れてきている。
(※注1)電通総研試算
【2】同市場の変革について
弊社として定義しているわけではないが、かつて「ドッグイヤー」と言われていたIT業界のペースを振り返っても、現在のSEM業界での変化はそれを凌いでいることは間違いない。IT業界全体の話で言えば、「モノを作る」という過程が入ってくると人の稼動や物流といったものも進歩に大きく影響してくるが、この業界においてはそういう物理的要素の影響は少なく、新しいアイデアをすぐに実行に移すことができる。つまり「Plan」「Do」「Check」のサイクルが速い。そういう意味では、「●年周期」といったスパンではなく、「日進月歩」と言えるだろう。
そうした進化のスピードを加速させる要因として、パソコンの高機能化やブロードバンド回線の普及といったインフラやツール面での整備が大きく影響しているのではないか。
【3】 マーケティングに関わる立場として(A)一般のコンシューマー、(B)サービス提供企業、(C)広告主、の3つがある場合、同市場における牽引役は?
このA~Cの立場を我々の業界で置き換えると、(A)インターネットユーザ、(B)掲載パートナー(Yahoo! JAPAN、mixi等)/弊社、(C)広告主、となるが、変化の歩調は誰かが他のプレーヤーを牽引するというよりも、みな一緒のペースで動いているのではないだろうか。
新しいサービスが出現すると、そこにユーザが集い、利用する。そしてメディアとして成長することで、広告主が興味を示し出稿。そうなることで、広告主とユーザが繋がり、今までになかった市場が生れてくる。
SEMの市場は、そうした健全なリレースパイラルが機能し、成長を遂げてきた。それぞれの立場にいる人の進歩や意識も一緒だと思われる。
【4】 【3】における例外
もちろん、上記3者のすべてが、このリレースパイラルに乗れているかというと、そうでもない。例えば、同じ広告主でも検索連動型広告を利用して成果を上げている会社と、そうでない会社もある。それは、ユーザに対してWebサイトにアクセスしてもらう目的の違いによっても大きく変わるだろう。「PVアップか?」「購買か?」「ブランディングか?」。ただ、広告主にとっては、検索連動型広告はWebプロモーションの施策の一つでしかなく、どの目的において検索連動型広告が成功するかは、見る人の立場によって違ってくるのではないか。
【5】 SEMの近未来
電通総研の調べによると、5年後の2011年にはインターネット広告費全体で、2006年の2倍以上となる7558億円にまで成長。その内訳でも、検索連動広告は2006年の26%から30%に拡大すると試算されている。
ただし、近年著しく成長率が高いのはモバイルによる広告だ。アクセス手段、またはネット端末としての携帯端末はすでにPCより普及している。モバイルにおいては、現在はバナー広告やテキスト広告が主流だが、いくつかのサイトにおいては検索連動型広告が採用され始めている。各キャリアが公式メニューの中に検索エンジンを採用しはじめたのもコンテンツの広がりを示しているといえ、検索連動広告の活躍できるエリアのさらなる拡大と見ている。
そうしたモバイルとの関連性も鑑みると、上記の試算数字は少し低めの予想かもしれない。実際に、米国では検索連動広告がインターネット広告費全体に占める割合として45%を占めている。日本においても、それに近い割合まで伸長する可能性を秘めている。

「検索」が生活の行動の一部として一般化 目的を設定することが、SEM成功の第一歩 今後、モバイルにおけるSEMの重要性が高まる |



